せいろさんに描いて頂いた上田綾ちゃんが好評みたいなので、どんな感じに乗っ取ったかを書き記してみました。
よろしければどうぞ。
昼間のうだるような暑さが引いていく。
太陽が沈み、空が茜から藍に染め上げられる頃。
田舎と言われても遜色ないそこはまだ夕暮れにもかかわらず星が煌めきだす。
海沿いにある小さな町、皆が夕飯の支度をして徐々に人が少なくなってきている。
その中で、一人の女性が座り込んでいた。
息も絶え絶えで汗がダラダラと流れている。
髪の毛が長く、露出が少ない……恐らく二十代くらいだろうか?
これとって特徴の無い女。
一つだけ言えるのは、彼女はここの住人ではないという事。
偶に通りかかる人々も怪訝な顔をして去って行くのみ。
何かに飢えた雰囲気を醸し出しながら、ただ、座り込んでいた。
「あのぅ、大丈夫ですか……?」
そんな女性に、ペットボトルの麦茶を差し出す女の子。
紫色の柔らかそうなショートヘアーに小さな髪飾りをつけ、ルビーのような紅い瞳。
優しそうな愛らしい顔立ち、肉感の良さそうな手足。
きっと、しま〇らで買ったのであろうか、シンプルなボーダーキャミソールにデニムのショートパンツ。
白のニーソックスから見える絶対領域と、ピンクを基調としたスニーカーが健全さを煽る。
不用心なのかピンクのブラの紐が見えてしまっていた。
ボーダー故に、彼女の豊満な胸のラインもハッキリと分かる。
近づき、目線を合わせるためにしゃがんでくる少女。
胸の谷間が良く見えた。
「ぁ……ぁ……」
女性は枯れ切った声を絞りながら、ペットボトルを受け取る。
ほうほうの体で蓋を開け、一気にあおった。
吸いこまれるように中身が消えて行く。
「はぁ……ふぅ……」
がぶ飲みしたせいで少し息が上がっているようだが、すぐに落ち着いた。
どうやら脱水症状だったようだ。
具合がマシになったのを見て、少女は緩やかに微笑む。
「良かった、もし良ければ近くに病院がありますから……」
そう伝え、それじゃぁと立ち上がってその場を去ろうとする。
女性は手を伸ばして、引き留めた。
「あの、お礼を、させてください……」
シワシワの声を振り絞り、懇願する。
あまりの必死さに、少女は踏みとどまってしまった。
その甘さ、が彼女の美点でもあったのだが……
「は、はい……」
グッと腕を引っ張られて近くに寄らされる。
女性は足腰を震わせながら、立ち上がると両手で握りしめ、お辞儀をした。
何かボソボソと呟き始める。
「え……?」
小声で何なのか聞こえない。
思わず顔を近づけて聞き取ろうとした。
耳を傾けて……何か泡立つ音がする。
洗面台に水を張って、流しきった時のような排水音と言えばいいだろうか。
背筋が凍りつく。
ドヂュッ!
「ッ!?」
そこに、生暖かい液体が触れた。
海に飛び込んだ時のように気泡が何度も弾ける音が響く。
本能的に女性から距離を取ろうとするものの、万力のようにがっちりと手を握られて逃れられない。
「ひっ……!」
目を見開いて首や身体を振る。
しかし、ドロッとしたソレは彼女の耳に繋がれたまま。
視界を動かすと、女性の口から半透明な水色の液体が這い出ていた。
まるで蛇のようにうねり、どろりといくつか水滴が垂れる。
どこかの漫画で見た、スライムと言うやつだろうか。
恐怖で顔が引きつった。
入りこんだソレは、鼓膜に染み渡って濡れた紙のようにすり抜けさせていく。
「あ、あ……いやっ、や……げほっ!」
パニックになりつつある少女。
助けを呼ぶために本能的に息を大きく吸う。
だがそれが良くなかった。
耳管を通り抜けたスライムは鼻の中に入りこみ、呼吸と共に気管へとなだれ込んだのだ。
「ふぐっ……あっ……」
風邪を引いた時のように詰り、口呼吸を余儀なくされる。
ヒクヒクと小さな鼻の穴を広げてもがくも、粘度の高いソレは全くビクともしない。
「はっ……はっ……おぇっ……んぎっ!」
異物に対して粘液が分泌され、口からだらりと涎が垂れる。
浅く呼吸をして身体の負担を和らげようとするも、スライムは容赦をしなかった。
耳管から別れたソレは彼女の脳に触れたのである。
「がっ……ぎぃ……!」
綺麗な声を出す彼女の喉が、錆びた歯車のような歪な音を絞り出す。
全身がガクガクと不規則に痙攣し、電流を浴びたかのよう。
瞳孔が開いてぐりんと上を剥き、涙がたらりと零れた。
「ひっ……がぁ……がっ!」
バツン!とブレーカーが落ちたような音がした。
硬直していた全身の力が抜け、ガクッと項垂れる。
辛うじて足はがに股に近い形になりながらも耐えて倒れるまではいかなかった。
同時に、腕を掴んでいた女性も体から力を失う。
ドサッと倒れ、鈍く頭を打ち付けた。
スライムの糸もブチッと切れる。
「…………」
沈黙。
遠くから虫の音だけが響き渡る。
数瞬した後、少女の指がピクッと動いた。
スライムの入っていない片方の耳からどろりと何かが垂れる。
赤い瞳を別々に動かし、女性の方を見た。
「ァ……ぅ……」
うめき声を上げながら、手をゆっくりと握ったり開いたりして具合を確かめる。
右手で頭を押さえて首をコキコキと鳴らした。
ゆっくりと動くその様はとても不気味だ。
「タり……ナい……」
ぎぎ、と獣のような姿勢で中腰のまま歩を進める少女。
屈んでいるため、ショートパンツがズレてピンクのショーツが見えているが全く気にも留めない。
腕で宙を掻き、半開きになった口から涎を垂らし続ける。
逃れたいような、進みたいような矛盾した印象を受けた。
ギッ、ギギと細かく痙攣しつつも少女は目当てのモノへと向かう。
倒れている女性を探り当てると、彼女の顔を不器用にぐっと掴んで、口づけをした。
「じゅるっ!じゅるるるるるる!」
下品な音を立てながら残ったスライムを啜りだしていく少女。
化け物が人間を襲っている映画のワンシーンのようでもあった。
目を見開き、激しく喉を脈動させしながら嚥下していく。
舌を中に突っ込み、顎や首を細かく動かして咀嚼する。
あまりに夢中なのか、呼吸すら忘れているようだった。
細い首や額に青筋が浮かび上がっていく。
「ングッ……ゴキュッ……ジュルッ……」
尻を突き出した姿勢で、背中をドクンドクンと脈動させる。
ブピッブピッと屁が漏れるが気にも留めない。
女性は見るから手足から干からび始めていた。
「じゅぞっ……ヌチッ……ぷはっ……はぁ、はぁ……」
粗方吸い終わると、カラカラになった女性から唇を離し、打ち捨てる。
銀色の橋が二人にかかり、ぷっつりと途切れた。
肩を大きく上下させながら、先ほどよりも滑らかな動きで背を反らし身体を伸ばした。
新鮮な空気を肺に取り込んで、一息つく。
「はぁ……助かったぜぇ……さっきのカラダは殆ど限界だったからなァ。」
鈴のような透き通った声。
だがそこから紡がれる言葉はあまりにもドス黒い。
唇を釣り上げ、垂れる粘液を舌で舐めとった。
「あーあー、うん。今回の娘は随分とカラダが軽い……ええっと、記憶はと……」
目を閉じてふんふんと頷きながら記憶を探っていく。
時折、ピクッと眉間に皺が寄った。
「私の名前は上田綾、17歳で高校二年生、3サイズは92、62、88のFカップ、身長が161センチ、体重は55キロ。片親で漁師をやっているから家には誰も居ない。へぇ……夢は都会に出て保育園の先生になりたい、と。健全過ぎて泣けるねぇ、男性経験もゼロ、知識は多少なりともあってオナニーは週に3回くらい。へぇ、結構エッチなんだぁ……へぇ……」
物珍しそうに自分のカラダを見下ろす綾。
ぴょんと跳ねれば、ブラに包まれているたわわな果実が揺れた。
同時に尻も少し震えている事から、結構な肉付きだと予想する。
「イイねぇ……早速おうちにお邪魔しようかな?あんまりここに長居して面倒な事になってもアレだし。」
髪をかき上げて颯爽と立ち去っていく。
思わず笑みが零れてしまう。
と、何かを思い出したように振り返り。
「じゃあね、そのカラダも良かったよ♪」
何も言わぬモノと成り果てた彼女に別れを告げた。
そこから歩いて五分程のところに彼女の家はあった。
とは言え、誰も居ない少し古めの一軒家、真っ暗である。
ポケットから鍵を取り出し、何個か合うモノを探してハメた。
「えへへ、お邪魔しまーす。」
真っ暗な玄関の灯りをつけ、靴を脱いで我が物顔で侵入する。
勿論、彼女の家であるのだが。
記憶を辿りながら、階段を上がり自分の部屋へと向かった。
「へぇ、ここかぁ……」
すんなりと見つけると、ゆっくり扉を開けて入る。
女の子らしい、ぬいぐるみなどが置かれた部屋。
甘い香りが鼻腔をくすぐった。
畳敷きで、布団などは上げられたままらしい。
何と言うか、一昔前と言った印象を受ける。
勉強机も、木で出来た重厚なモノで小学生の頃からずっとそうなのだろうなと思った。
「さて……早速お楽しみと行かないと!」
そこに置かれた一つの大きな鏡台。
高校生の入学祝いの時に、化粧を覚えないといけないねと父親に買ってもらったモノだ。
化粧禁止なんだけどなと思いつつも喜んで貰ったと綾の記憶にはある。
「イケナイ子だな、私……♪」
ペロッと舌を出してウィンクしてみる綾。
可愛らしい……
怒った顔や悲しい顔、物ほしそうな顔等くるくるとさせてみた。
そのどれもが似合っている。
ついでにポーズもつけはじめた。
腋が丸出しのキャミソール姿なので、なるべく腋を見せるように。
ツルツルのそこは少し汗ばみ、仄かに香りがした。
それもまた嬉しい。
頭が動く度に潮とシャンプーの匂いも漂う。
彼女に包まれているようなそんな感覚がしてきた。
「はぁ……えへへ……」
頬が綻んでゆるゆるだ。
ウットリとした表情で自分の顔を見つめる。
鏡台に足をかけ、口付けを始めた。
ねっとりと塗りたくるように、深く深く。
目を開けば、必死にキスをしてくる綾のドアップが。
鼻息が荒くなり、少し鏡を曇らせた。
「んっ……じゅるっ……」
ひんやりとした感覚がしばらく続いたが、徐々に体温で温められていく。
大量に分泌された唾液を味わい、嚥下しながら自分同士のキスを楽しんだ。
身体が火照ってきているのが分かる。
「んっ……♡」
左手をグイッと服の中にもぐりこませた。
ピンク色のノンワイヤーブラの上から、大きなおっぱいを揉み始める。
カップだけのソレは少しの硬さを保ちながら変形し、中のソレを歪ませた。
はぁ、と熱のこもった吐息が漏れる。
「あっ……♡」
右手もまた、ブラの中に手を突っ込み、グイッと上げる。
乳房が直接キャミソールに触れ、綿の柔らかい生地が乳首を摩った。
優しく持ち上げながら、指で乳頭を刺激する。
ぐにぐにと解し、弄び、虐めながら快楽を貪った。
「うひっ……きもちいぃ♡」
頬が朱に染まり、涎が止まらなくなる。
ベトベトになった鏡に、彼女の記憶にないほどエロい表情をした綾が映った。
ボーダーキャミのラインが歪んでどう形が変わっているのかを明確に示していく。
「やっ……♡んぁっ……♡えっろい♡たまんないよぉ、こんなエッチな表情させられて、我慢できるはずが……うぇへっ♡」
股間の部分がジュンと濡れる感触がする。
欲望が抑えきれない。
ここまで突き動かされる事は無かったのだが、綾のカラダと相性が良いのだろう。
「んぁぁぁっ♡♡♡」
ズリュリュッ!
「はぁー、はぁー♡♡」
身体がググッと仰け反ると、耳からスライムが這いだしてきた。
一応は全て彼女の体内に収まっていたのだが、耐え切れなくなったらしい。
フラフラとおぼつかない足で鏡台の前に立つと、左手で胸を弄ったまま右手をショートパンツの下から突っ込んだ。
陰毛が殆ど生えていない秘部を霞め、ショーツを指にひっかけてずらす。
「んっ…♡」
それだけで刺激され、カクッ、と膝が崩れかける。
淡いピンク色のショーツはトロトロに濡れていて、その奥の鮮やかな肉壺がヒクついた。
トロリと愛液が太ももを伝い、白のニーソへと染み込む。
「はぁ……つ、次はこっちに入ってみるか…♡いや、入りたい……入りたいぃ……入れてぇ♡おまんこ切ないのぉ……♡♡♡」
にゅるりとスライムは蝕指を伸ばし、背中をぐるっと半周回って股間まで降りてくる。
何人もの女性に寄生してきた彼であるが、性器に入るのは実は初めてであった。
衝動に突き動かされるまま、先端がソコに触れる。
「んぁあああああああああああっっ♡♡♡」
膝が外を向き、がに股になってしまう。
彼女の体温で温められたソレはピッチリと吸い付き、そして逸物と勘違いした綾のカラダが本能的に受け入れようとした。
「らめ、吸いこまれちゃうぅ♡♡」
陰唇を舐めつつ、襞の一つ一つの隙間を埋めながら侵入していくスライム。
いや、吸引と言うべきだろうか。
自転車の空気を手動で入れるときのように、グッ、グッとリズミカルに奥へ奥へと進む。
「あっ…ぁっぁっ……んひぃ♡」
歯を食いしばって快楽に耐える綾。
性感帯をなぞられ、全身がヒクッヒクッと痙攣する。
だがその時、彼女に異変が起きた。
「やぁ……♡♡んっんっ……ひっ!ぁ、ぇ…んあぁ♡♡」
目をぱちくりさせながら今の状況を急速に把握しようとする。
スライムが子宮に移動しつつあるために、脳を操作していた部分まで抜けて支配が弱まったのだ。
「なっ……♡やだっ!なにこれ……♡♡んはぁ♡」
だが、さしたる抵抗は出来なかった。
例え脳がいくら指令を送ろうとしても、受信する身体が言う事を聞かないのである。
スライムによって人間では味わうことのできないほどの快楽を受けているのだ。
「やぁっ……♡♡」
踏みとどまっていた足が崩れて仰向けに寝転がってしまう。
何かを掴もうと手が畳を掻きむしるが、何の役にも立たない。
綾に出来るのはなるべくこの快楽から逃げる事のみ。
「あっ、あぁぁぁぁ♡♡」
スライムはジュルジュルと耳から出て行きながら、膣を満たしていく。
柔らかい肉襞を押し広げ、無理のないように。
ブチュッブチュッと中の空気が抜ける音がした。
「やっ、そこは……んぁぁ♡♡」
とうとう子宮口へと到達する。
ぷっくりとしたリング状のそこ。
隙間なく埋めてちぅちぅと吸いだそうとしたり弄ばれる。
「おねがっ……♡あぁっ♡♡」
懇願空しく、スライムは欲望に従って彼女の最奥へと入り始めた。
腹の中に熱いモノが広がる感触がする。
膣と同じように満たされて行ってしまう。
勢いは更に増し、まるで蛇口を中に突っ込まれたような感触すらした。
「はぁぁぁぁぁっ♡♡♡」
その感覚についに綾のカラダは白旗を挙げた。
オムツを付け替えられる赤ん坊のような姿勢のまま、仰け反って舌を突き出し絶頂する。
「―――ッ!!!」
唾を吐き、汗を垂れ流しながら、痙攣する。
だが、それが終わらない。
絶頂する感覚を覚えた子宮が、その信号を脳に送り続ける。
「アッ♡♡♡♡」
その状態のまま、スライムはまだまだ奥へと向かう。
後から後から続いていく彼によって膣は刺激され、快楽が幾重にも重なっていく。
「お゛っ……♡お゛ぉ゛……♡♡」
まるで喉を雑巾で絞られたかのような声。
握られた手が不自然に宙で止まり、硬直する。
目を見開き、口や鼻を全開にしながら激しく呼吸した。
耳から出ているスライムは全て排出され、子宮へと移動していく。
「あ゛ひっ!???」
次の瞬間、ダンッと足を地に着くと、身体を仰け反らせた。
子宮の最奥へとスライムが到達したのである。
卵巣、綾の大切な遺伝子情報が入っているそこになだれ込むと、壁に染み込み始めた。
「ひぁ゛ぁ゛♡♡♡」
彼も予想していなかった現象。
殆どが水分で構成されているスライムが、彼女を構成する水分と置換されつつあるのだ。
それも細胞の一つ一つから。
「オ゛っ!オ゛ぉ゛♡♡♡」
子宮での絶頂をキメている綾は既にどんな刺激でもイくような状態に陥っている。
耳に息を吹きかけられただけでもイくだろう。
その彼女が、一つ一つの細胞を知覚し、置き換えられていくことを認識しているのだ。
「ハヒッ……ヒッヒッ……♡♡」
息が細くなってきた。
だがスライムは止まらない。
子宮から染み出た彼はまず下半身の尻部分から支配を始めた。
外から見ても分からないが、徐々に押し出され、気泡がツプツプと結合していく感触が広がっている。
次に太もも、ニーソに包まれた足。
うぶ毛すらも浸透し置き換わっていく。
外からは見えない足の痣や、切りそろえられた爪までも余すところなく。
神経も勿論置き換わっており、徐々にその部分の力が抜け始めていた。
綾から支配権が奪われているのである。
「ンォ゛、オ゛オ゛♡♡」
そして陰唇やクリトリス、膣、尻穴や膀胱なども取り込まれて行く。
臍がグニグニと動いて、そして元の形へと戻った。
健康な臓器が浸され、犯されて置き換わる。
その細胞の一つ一つに対して絶頂を続ける綾。
意識を失いたくても失えないでいた。
服に包まれた中、おっぱいや心臓までもが乗っ取られる。
循環する血液に乗って、その速度はさらに加速していった。
腋の毛穴、汗腺、フニフニした二の腕、細い指の先は勿論。
細い喉、そして口、鼻……
「ア゛ヒッ♡♡♡」
目や耳も取りこまれ、最後に残ったのは脳。
彼女の全てが置換されていく。
触れられた瞬間、微動だにしなくなっていた身体が再び激しく痙攣した。
強烈な電気信号が神経を伝い、スライムの支配を跳ね除けて筋肉を動かしている。
しかし、それは本能、生理的な反応。
綾の意識は既にトんでいた。
「オ゛ッ、オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
唇が釣り上がり、目を見開いて叫ぶ。
後ろ側からじわじわと取り込まれて行く。
右脳、左脳、そして前頭葉までもが。
「ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛♡♡♡♡♡」
ドプッと音がした。
人間を辞めた、表情が消えうせた顔で最後の絶頂に浸る綾。
身体の各部位……どころか細胞一つ一つが意思を持ったように痙攣する。
関節毎に釣り上げられた魚を埋め込まれたようだ。
激しくのたうち回りながら、人では味わえない快楽に酔いしれた。
その痙攣は数分続いたが、徐々に各部位が連動を始め、落ち着いていく。
ハァハァと豊満な胸を上下させながら、息を整える。
反動からか、筋肉が弛緩して小水がジョボジョボと垂れ流された。
ショートパンツが黒ずみ、畳みに水たまりを作る。
「んひぃ……♡」
ホロリ、と涙が零れた。
そしてまた沈黙が訪れる。
「……」
ゆらり、と汁にまみれた手を天井の照明に翳した。
何度かパチパチと瞬きをして、それを握る。
「…………」
鼻で息を吸う。
汗と雌の匂いがむせ返るほど取りこまれた。
「あぁ……そっかぁ……」
綾はむくりと起き上がる。
皺まみれ、水浸しになった服をてきぱきと脱ぎ始めた。
何も迷うことなく、ブラジャーのホックを外して一応畳んでおく。
動かしている違和感も何も無い。
「完璧に私に、上田綾になったんだぁ♡♡言葉も意識しなかったら全部私のままになっちゃう……あぁ、本当にすごい、今までの記憶とか意識しなくてもスッて出てくるよぉ♡♡」
両手を頬に当てて恍惚に浸る。
そう、スライムは綾と同一化してしまったのだ。
寄生した時は、例えるならゲームを動かしている感覚だろうか。
本体が別に居て、宿主の脳へ電気信号を送って記憶を引き出したり、身体を動かしていた。
だが今の彼は生きている彼女そのものである。
細胞単位で本体が綾と一つになったため、今の彼女はスライムでもあり上田綾なのだ。
「えへへぇ……♡とりあえず、片づけないといけない、よね?」
全裸のまま、漏らしてしまった始末をしようとする。
この状態になればそうやすやすと抜け出すことも出来ないだろうし、ここに住むならば綺麗にしておきたい。
それに、綾自身が綺麗好きなのも合わさっていたのだろう。
「ってあれ?」
ふと見れば、畳に水たまりが出来ていた。
普通なら染み込んでいるはずなのに。
どころか、少しプルプルと動いており、色も淡いアメジストだ。
「……もしかして?」
ツンっ、と触ってみる。
と、静電気のようなものが走った。
何かが繋がる感触がする。
(!?私……えっ、私!?聞こえるの!?)
「あぁ……そうかぁ、混ざりあっちゃったから、余分な『私』が出ちゃったのね。」
一つのカラダに二つの魂は入り切らないのだろう。
あぶれた本物の綾がスライムのカラダを纏って排出されたのだ。
どうやら、触ると意思疎通が出来るらしい。
自由に動くことはまだ出来ないようだが。
(貴女、一体誰なんですか!私のカラダを返して!!)
「決まっているでしょう?私が上田綾ですよ?」
ニコニコと微笑みながらスライムに向けて言い放つ。
事実、彼女は本当に綾となっていた。
親や親友が見てもそう言うであろう。
「はぁ、仕方ないですね……きちんと立場を理解してもらわないと、ね?」
(…何を!?いやっ!!)
一つため息をつくと、綾の紅い瞳が妖しく光った。
次の瞬間、スライムが蠢くと、勝手に形を変え始める。
ニチニチと音を立てながら、男性器を模したディルドへと。
(やっ……嫌ァアアアアアアアアア!)
叫び声が脳に響き渡る。
少し目尻をヒクッとさせ、ねっとりと舐めた。
「これ、何か分かるよね?おちんちんになっちゃったね……♪」
(ぐすっ、やめて……やめてよぉ……)
謡う様に告げる。
あまりの背徳感に、背筋が震えた。
イき疲れたはずのカラダがまた火照り始める。
愛液がたらっと垂れた。
「はむっ……じゅるっ……」
ローションが無いので自分の唾液を丹念にまぶしていく。
勿論、スライム化すればいいっちゃいいのだが。
鏡にフェラをしている自身を映したかったのだ。
(いやぁ……うぅ……ひぐっ……)
そして、壁に背を預けてぺたんと座ると、М字開脚の姿勢になる。
毛の薄いヒクつく陰唇に宛がった。
(お願いします、お願い、やめて……私、初めて……)
「だいじょぉぶ♡さっきので卒業したから♪」
ズチズチズチズチッ!!!
勢いよく突っ込む。
解されきったそこは、綾ディルドを難なく受け入れた。
ゴリゴリと削りながら最奥まで到達する。
(―――――ッッ!)
「んはぁあああああああああ♡♡♡♡」
声にならない声。
膣がぴっちりと張りつく感触がする。
やはり、同じカラダから生まれたモノだからだろうか、相性抜群だ。
動かすだけで、腹の中が引きずり出されたり押し出される。
まだキマっているのか、強烈な快楽が綾の脳髄を焼いた。
「はぁ、はぁ♡♡私でオナニーするの最高♡♡♡」
左手でディルドを動かしながら右手で胸を揉む。
いつもより激しく。
支配される事に悦びを得た綾のカラダは歓喜し、脳へと快楽信号を送った。
(やっ……やだっ!やだやだやだやだやだぁ!!!)
彼女もこれを感じているのだろうか。
だとしたらとても嬉しいと綾は思った。
こんなに素敵なものを、一人占めするのも楽しいが誰かに共有『させる』のも一興。
愛液が更に溢れ出す。
「はっはっ♡♡やばっこれ♡♡」
頭の中が真っ白になっていく。
知らない、こんなの知らない。
彼女の脳に新しい知識が、記憶が書き込まれて行く。
生まれ変わった喜びを刻み込む。
(たすけ、たすけて……おねがっ……あぁぁぁあっ!)
「おっほ♡♡んほぉ♡♡」
耳を劈く悲鳴が心地いい。
膣が痙攣し、腹筋が軋み、尻穴もヒクヒクと動く。
心臓の鼓動が加速し、呼吸が乱れて息も絶え絶えになる。
その命の灯が愛おしくて仕方ない。
「すきぃ♡♡……私好きぃ♡♡♡」
(らめ、らめなのぉ……!)
全てが塗りたくられた瞬間、はじけ飛んだ。
「(♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡――――――!!!!)」
ヌポッと膣圧でディルドが抜け出る。
絶頂による痙攣で不規則に脈動する膣。
ぽっかりと空いたそこは、どろりと泡立った愛液が垂れ流されていた。
綾はあまりの満足感に意識を失い、そのまま眠りに落ちた……
一か月後。
夜の帳が落ちる頃。
砂浜と町を遮るコンクリートの壁の上に座る一人の少女。
紫色の柔らかそうなショートヘアーに小さな髪飾りをつけ、ルビーのような紅い瞳。
優しそうな愛らしい顔立ち、肉感の良さそうな手足。
きっと、しま〇らで買ったのであろうか、シンプルなボーダーキャミソールにデニムのショートパンツ。
白のニーソックスから見える絶対領域と、ピンクを基調としたスニーカーが健全さを煽る。
不用心なのかピンクのブラの紐が見えてしまっていた。
ボーダー故に、彼女の豊満な胸のラインもハッキリと分かる。
上田綾ちゃん。
彼女は、乗っ取られたときの服がお気に入りになっていた。
股に仕込んだディルドに、分からせるためである。
自分は一体何者だったのかを。
「……いい風♪」
夏も終わりかけて秋の気配が徐々に近づいてきている。
彼女は夜にここにきて海を眺めるのが日課だった。
今になっても変わらない。
そろそろ衣替えの季節だろうか……
にゅるり、と耳からスライムがあふれ出た。