カルデア資料室
人類最後のマスターである藤丸立香は、最近あまりにも自分にサーヴァントの知識が無いことを悔やんでいた。
一応、マシュという優秀な相棒が居るので大体は何とかなっているのだが、やはり地雷を踏まないためにも必要ではないか、と。
皆は、「お前のままでいい」みたいな事を言ってくれるのだが、やっぱり気が引けるものであった。
さて、今日読んでいるのはジャンヌダルクの伝承について。
第一特異点として訪れたオルレアンで出会った英霊。
最初の戦いだけに、その姿も印象的なものであった。
そして何より、もう一つの不確定な存在。
ジャンヌオルタの事も知れるのではないか、と立香は思って居た。
裏技のようなやり方で霊基を確保することが出来たものの、何というか危なげないな、と感じるのだ。
ジャンヌの一点の曇りから存在を確保した彼女。
もしかしたら、過去を知ることによってその縁をさらに強くできるかもしれない、と。
善のサーヴァントであるジャンヌの黒い側面を掘り起こすのは本来であればあまりよろしくはないのであるが。
折角仲間になってくれたのだ。
突然不具合のように消えられては悲しい。
と、ジャンヌのことについて読み漁っていると気になる記述を発見した。
カルデアが観測した、平行世界のジャンヌについて。
どうやらそこでは、正規のルーラーとして現界しようとしたジャンヌが、或る少女に憑依した状態になったという。
観測出来たのはそこまでのようだが、それは使えるのではないだろうか?
もし、マスターである自分に憑依させることで現実との繋がりを更に強くできたら。
物は試しだ、早速やってみよう。
立香の私室
「あなた、馬鹿なんですか…?」
早速ジャンヌオルタを部屋に呼んで試してみよう、と言ってみた。
全く呆れた、と言うような雰囲気。
ツンケンされているが、貴女をここに繋ぎ止めたいの、と言うと顔を真っ赤にされた。
可愛い。
「ま、まぁそこまで言われたなら!?やってあげないこともないですけども!」
チョロ可愛い。
それはともかくとして。
彼女には聖杯による加護で様々なステータスがついている。
目をつけたのは自己改造EX
聖女として名高いジャンヌダルクがここまで歪な姿になっているのも、このスキルによるもの。
それを今から、礼呪を使いマスターである自分を組み込めるように調整する。
先ずは準備のためにお互い服を脱いで向かい合った。
ジャンヌはすごく恥ずかしそうにしているが、女同士、そこまで気を使うものでもない。
手早くカルデアの服を脱いで機能性重視の水色のスポーツブラとショーツを脱ぎ去る。
仕方ない、と言った調子でジャンヌは鎧を脱ぎ、下着も脱いだ。
「何よ…ジロジロ見ないでよ。」
そうは言っても、女の自分から見ても美しい身体。
自分のプロポーションもまぁ、日本人ではそれなりのものを持っているつもりであったが。
ほぼ同い年なのにこの差。
しかも、肌も染み一つなく、乳首も綺麗なピンク色。
サーヴァントの加護故なのだろうか、ちょっと綺麗すぎはしないか。
っと、さっさと始めよう。
「令呪を以って命じる…ジャンヌオルタ、マスターである私を、取り込みなさい…!」
右手にある三画の内、一画が赤く光りそして消えた。
その瞬間、ジャンヌの身体が光の粒子に包まれる。
霊体化と同じように見えるが、後ろの壁が透けて見えないことから一種の加護を受けている状態なのだと推察できた。
彼女はゆっくりと立香の前に進み、微笑みながら彼女を抱きしめる。
あぁ、やっぱりアヴェンジャーになっても聖女なんだ、と安心できた。
まるで幽霊を掴むようにすぅ、と立香の姿が消え、部屋にはジャンヌだけが残る。
光も消え、どうやらうまくいったようだ。
右手にはマスターの証である礼呪が二画刻まれている。
「…ぐっ!?」
突然ジャンヌはベッドに倒れ込むと、自らの身体を抱きしめ苦しみだす。
「なに…これ…魔力が!吸い取られる…!」
まるで炎に焼かれるような、そんな感触。
ただでさえ異常な状態でなんとか現界していた身体が、人間を格にしてしまったが故に異物と認識されてしまったのだ。
(大丈夫!?ジャンヌ!)
「ダメ…魔力がっ、足りない…このままだと…!」
自分が消えてなくなる。
いや、それならいいのだがおそらく立香も危ない。
今現在、カルデアの電力でサーヴァントたちの魔力は賄われておりそれは使用量が限られている。
通常なら聖杯の加護もありすぐに補給できるのだが、それが出来なかった。
(ぐっ…!)
感覚を共有しているのか、立香の苦しむ声も脳内に響く。
いけすかないマスターとは常に思って居るが、自分のせいで死なれたら困る。
「魔力さえあれば…!」
一先ず存在を確立することは出来るはず。
何とかして…
(…!それだ!)
立香が声をあげる。
魔力供給、そう言われると今出来るのは…
「えっ、ちょっまさか…」
(一先ず急ごしらえでいいから、しちゃえばいいのよ!)
そう、セックスだ。
魔術師の精液が高値で売れるほど、性行為というのは魔力を高め共有することが出来る。
だが、ジャンヌは顔を真っ赤にして否定する。
「いや、流石に恥ずかしいから!それに経験ないから!!」
そう、彼女は聖処女だったもの。
つまり、経験が無いのだ。
(令呪を以って命じます、ジャンヌオルタ、直ぐにオナニーしなさい!)
立香にしてみればもうとる手立てはそれしかない。
右手の礼呪が更に一画消え、ビクン!とジャンヌの身体が痙攣した。
「やっ…やめっ!」
嫌々と首を振る彼女をよそに、勝手に身体が動きだす。
現界する際に知識として与えられてはいたが、特にする必要もないと蓋をしていた性的な事。
と言うか、恥ずかしかったのだ。
指が豊満な胸に触れ、しっとりと動き出す。
「――!」
顔を真っ赤にして目をそらすが、ジワリ、としたくすぐったいような感触がする。
なにせ生娘なのだ。
聖処女と言われたくらいなのだ。
感じるはずがない。
だが、魔力が漏れ出したのか苦痛が少し和らいだ。
「っ…ふぅ…」
目をキュッと閉じ、耐えるジャンヌ。
誰も触れたことのないピンク色の乳首は徐々に隆起し、快感をさらに強める。
むにぃ…と白い乳房が歪み、たわみ、自在に形を変えた。
(気持ちいい…でも、もっと…もっと…!)
瞬間、胸を揉んでいたジャンヌの右手の最後の礼呪が光り、広がり始めた。
腕を伝い、胸や顔、腰、足の先に至るまでタトゥーのように。
それが全て淡く明滅を繰り返している。
「ひぅぅぅ!?」
強烈な快楽。
礼呪により、強制的に感度が底上げされたのだ。
ビクン!と震え身体が縮こまる。
胸をさらにコリコリ、と弄れば付近の礼呪が輝き、焼けるような快楽が脳髄を襲う。
「あぁ…ひぃ…」
あふれ出てくる魔力、和らぐ苦痛がジャンヌの心を蕩けさせるのを助長した。
自然と右指が髪の毛と同じ白い陰毛に包まれたそこを目指す。
知らないはずなのに、中に居る立花の記憶がどういう場所なのかを本能に語り掛ける。
ぬぷっ、と右指を二本突っ込めば、堰は壊れた。
処女を失った彼女はよがり狂ったように中をほじくりまわす。
19歳、本当なら二次性徴を終え女として完成されてくる時期。
咲かせることのなかったそれを、欲望のままに解放していく。
頭が真っ白になり、何も考えられない。
身体の感覚も礼呪のお陰で快楽に染まり、起きている変化など気づくことも無かった。
先ほどと同じように、光が彼女を包む。
ガクガクと震え、仰向けになっている身体が反りあがった。
髪の毛が薄くオレンジ色に染まると左側にシュシュが現れ括られる。
快楽に震え、キュッと閉じていた目から涙が零れ堕ちていく。
グイ、とGスポットをえぐれば、強い刺激に息をひゅぅと吸って目を見開いた。
黄色がかった瞳は少し濁り茶色に。
キッと釣り上がった目は垂れ、やさしげな雰囲気を醸し出す。
カクッカクッと痙攣が少し収まり、ぜぇはぁと呼吸を再開する。
乳房はそれに合わせ、むくり、むくりと膨らみ、尻は腰が浮くたびにボリュームを少しずつ増した。
ピンク色だった乳首は乳輪の領域を更に広げて、色も少し濃くなっていく。
汗の滲む肌の色も純白から黄色系が混じった。
色が抜けていた下の密林も、髪の毛と同じ色に。
また、顔についている飾りも黒からオレンジ色へと変化した。
「ぎもぢいい…!」
快楽の極みを迎えた身体は、むせ返るような雌の匂いを漂わせながら頂点へと登っていった。
刹那。
ふっと身体の感覚が全て消え、電話越しのように音が遠くなっていく。
光の差し込む海のような空間で、ジャンヌと立花は最初のように裸で向かい合っていた。
お互い、何も言わずに抱きしめあい、深く、深くキスをする。
舌を絡め、唾液を交換し、肌をこすりつけ少しでも密着するようにと。
互いの指を、互いのナカに入れ、もっと、もっと。
ジャンヌの心の中に様々なものが流れ込んできた。
今までになかった記憶、本来持ちえなかった幼少期の記憶、第二特異点以降の記憶。
繋いできたサーヴァント達との縁。
全てを拒絶してきた彼女の魂に、暖かい何かが包まれ、生まれていく。
目を開けば立花は涙を流していた。
また、ジャンヌの頬にも温かいものが流れている。
とぷん、と音がした。
意識が白く飛ぶ。
現実世界の彼女の身体は全身の礼呪が烈火の如く光輝いていた。
雷にうたれたかのような激しい痙攣。
白目を剥き、あられもない姿を現している。
潮を吹きだし、括約筋が収縮し尿が激しく飛び散った。
ジャンヌだったものは、二分ほど激しく痙攣を続けた後、力尽きて眠りにつく。
礼呪は引いていき、右手に立香と同じマスターの証である三画が刻まれた。
「あー、完全にデミサーヴァントになってるね、これ…」
翌朝、異変に気づいた彼女はすぐさまダヴィンチちゃんの元へ駆けこんだ。
あらましを説明し、とりあえずみてくれ、と。
「やっぱりそうなのね…あー、うん。本当何というか、うん。」
そう、急ごしらえで延命措置を勝手に取ってしまった結果、完璧に融合してしまったのだ。
しかも、魂までも。
そのお陰か、ジャンヌオルタはアヴェンジャーのクラスからルーラーのクラスに戻った上に、マスターにまでなってしまった。
勿論、立香としての自意識もあるためそこに違和感はないのだが。
「まぁ、しばらくは分離する手段もないだろうし。そのままでいいんじゃないかな?カルデアとしてもキミが自衛手段を持ったと言うのは、ある意味で幸運だ。」
服はカルデアの制服にジャンヌの外装を纏う。
戦闘の際は鎧を拝借すればいいだろうか。
ちなみに顔のアクセサリーはアイデンティティなので取らない事にしておいた。
一先ずはそういうことになったことを皆に報告する。
各サーヴァント達も、反応は様々だが結構好意的に受け入れてくれる者が多くて助かった。
一部の人達は、何で私ではないのですか!?みたいな事も問い詰められたが。
事情を話せば、何とか理解はしてくれたようだ。
困ることと言えば。
「うぅ…食べても食べてもお腹がすくわ…」
食堂。
元々ジャンヌ自身は生前健啖家だったというが、それでもありえない量の山盛りのご飯。
魔力を維持するために食事を大量に採らなくてはいけなくなったのだ。
「でも、前よりいい顔をしていますね…この場合は何て呼べばいいのかしら。」
隣に座ったのは白い方の…いや、本来のジャンヌダルク。
「一応、便宜上マスターの方が良いわね。…まぁ、初めて人間になれたんだもの。」
返し方も、今までのぶっきらぼうなものとは違う。
悪いことばかりではなかった。
サーヴァントの維持には基本的に魔力のみが必要で、こういった人間的な生活を送る事など例外中の例外。
ましてや、ジャンヌオルタは実際に生きていた訳ではないのだ。
趣向品を口にすることはあっても、人間の本能に突き動かされるなどという事は無い。
それが、たまらなく楽しかったのだ。
立香の精神も混ざり合った結果、卑屈な面は鳴りを潜めて少女らしい笑みも零すようになった。
どちらかと言うと、聖処女ではない、ただのジャンヌになれたのだ。
そうなったことを誇り、感謝した。
二つの人格が混ざり合った感覚はまだ慣れないが、それでも楽しくやっていけるであろう。
さて、困ったことも勿論出てくる。
彼女の体積ほどあった量のご飯を全て平らげ、不思議な力で外観上は何も変化もない。
内臓類もデミサーヴァントになったおかげで消化吸収速度は人間の比ではなくなった。
だがまぁ、出るものは出るのだ。
トイレにこもれば、1時間ほどは排泄しなくてはならない身体になったのだ。
勿論それなりに流す回数も多く、初めての時など切れ痔になるかと思うくらいだった。
それすらもジャンヌは楽しそうにこなす。
何より気持ちがいい!と言うあたり女性としてどうなんだという話だが。
また、性欲が非常に強くなった。
礼呪の影響もありつつ、今までのジャンヌの反動もありつつなのだが何より。
二人の魂と身体を定着させる手段としてそういう事をしていたため、かなりハマってしまっていたのだ。
特に排泄で大きく開いた後ろの穴とかはお気に入りらしく。
こっそりダヴィンチちゃんに頼んで専用の張型を用意してもらう始末。
曰く、している時が何より自分が自分である実感を得られるとの事。
「先輩、朝…ってえぇ…」
「んはぁ…気持ちいい…!あぁっ…」
朝起こしにくるマシュにも呆れられる。
だが、彼女は妖艶に笑うと、手招きをした。
「知ってるわよ、最近夢でみているってこと…」
「!?」
赤くもじもじとするマシュ。
「魔力供給、してあげる♪」
復讐者は、性に奔放な娘に堕ちた。
だが、それはそれで幸せなのかもしれない。
彼女の根源は力の源であり存在意義そのもの故に呪いでもあった。
そこからも、聖処女として人から押し付けられることもなく。
まだ平凡とは言わないが、それでも人になったのだ。
これを、幸せと言わず何というのか。