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    スライム提督

    pixivからの転載です。
    「駆逐艦叢雲よ、アンタが司令官ね」

    執務室の扉を開けると叢雲は扉に椅子の背を向けたままの提督にそう告げた。
    かなり重厚な椅子で背もたれも大きいが、身体どころか頭も見えない、肘掛に腕もない。
    これはかなり年少の、身体の小さい提督なのだろうか。
    それとも、不在?いやそれはない。

    「ちょっと、返事をしなさいよ。」

    大淀からは提督が執務室に居るから挨拶して来いと言われた。
    一体何の冗談だ、余程の人見知りなのだろうか。
    焦れた彼女は机を回り込んで彼の姿を確認しようとした。

    「えっ」

    そこに居たのは人間ではない、青色の粘度が極めて高そうな液体。
    所謂スライムというものだ。
    大きさ、というか量はどうやら一般的なバケツほどであろうか?
    しかもどうやら生き物らしく、蠢いている。
    そんなものが執務室に居るという衝撃、叢雲は反応が一瞬遅れてしまった。

    「むぐっ!?」

    スライムはその見かけによらず俊敏な動きで叢雲の口の中へと飛び込んできた。
    口を閉じようとする彼女の唇をこじ開け、歯の隙間から徐々に、「ニュルリ、ニュルリ」と侵入していく。
    しかもスライムは人肌ほどに生暖かく、それがさらに彼女の嫌悪感を加速させる。
    中々口をこじ開けられないスライムは次に彼女の鼻からの侵入を試みた。

    「ふぐぅ!」

    呼吸が出来ないことに気付いた彼女は目を見開き、何とかスライムを掴もうともがくが、まったく掴める気配がない。
    それでもなんとか、鼻に水が入らないように呼吸を押し返すことで入ってくるのを防いでいた。
    涙目になりながら抵抗する叢雲に気を良くしたのか、更に触指を伸ばしたスライムは彼女の耳からの侵入した。

    「んぎぃ!?」

    入ってはいけない場所に入られ、全ての音が遠くなっていく。
    流石にこれには抵抗できなかったのか、叢雲はビクン!と身体を震わせた後、倒れ込み、全身を痙攣させ抵抗することをやめた。
    スライムに覆われていない眼は完全に白目を剥き、手は中空を掴もうとしたまま不自然に伸ばされている。
    身体を剃らせながら、外からでも聞こえるような「ゴポッ!ゴポッ!」という音が執務室に響き渡る。
    喉が大きく脈動し、鼻の穴も下品に大きく開かれスライムが侵入していく。
    呼吸が出来ないため、首や額には青筋や脂汗も浮き出ていた。
    幸か不幸か、その時間はそう長く続かず、スライムは全て叢雲の体内への入り切り、全身の力が抜け床へ寝転がった。

    「ガッ…ギッ…うぅぅ…」

    顔は無様にも舌を突き出し、鼻からは鼻水、目からは涙を垂れ流しており、とても人に見せれる状態ではない。
    痙攣は続いているらしく、不規則にビクッビクッと動いており、痙攣に呼応して股間からおしっこを漏らした。
    だが少しすると、その痙攣に規則性が生まれ、まるで中で何かが蠢いているように胸やお腹が膨らんだり萎んだり、腕や足の肉がまるで波打つように動いていた。
    またしばらくすると、その動きも先ほどより少し腹がポッコリした状態で収まったようだ。

    「う…」

    そして意識を取り戻したのか、目を見開き、両腕を持ちあげ拳を握ったり閉じたりする。
    がだ、目の焦点はあっておらず、舌も突き出したまま、まるで意思のない人形のような表情であった。
    ぎこちない動きでゆらりと立ち上がり、股間から垂れる小水を気にすることもなく執務室の椅子に無造作に座る。

    「ング…ゲェ…っぷ」

    スライムと共に空気を多く取り込んでしまっていたのか彼女は乙女とは思えないような下品なゲップをした。
    それに満足したのか、大きく口角をあげ笑う、がそれはとても無機質なものであった。
    彼女は椅子に大きくもたれかかり、М字開脚の体勢になり、自分のおしっこでビショビショのタイツを破った。

    「あっ…」

    無造作に指を自らの性器に突っ込み、中を弄り始める。
    愛撫も何もない機械的な動作。
    だが叢雲の身体は性感帯を刺激されたことにより性的興奮を得始めていた。

    「あっ…あー、あー」

    理性も何もない無様な顔で叢雲はオナニーをし続ける。
    舌は突き出したまま、口は大きく開かれ涎が垂れ落ちる。
    頬を上気させ、だが表情は無機質で。

    ブピッブッ…

    オナニーの刺激からか、スライムが入りこんだおかげで腸が圧迫され放屁まで始めた。
    それも構わず、彼女はオナニーを続けた。

    「あっ、あっ…あーっ!!!」

    そして絶頂。
    手が、足が、全身がぎゅっと縮こまる。
    スライムが侵入した時の痙攣とはまた違う、小刻みな震え。
    その波が収まると同時に、彼女は両手と両足を投げだした。

    「あっ…♪ふふっ」

    先ほどまで焦点が全くあってなかった瞳は理性を取り戻し、満面の笑みには人間性が溢れていた。
    ――ただし、決して彼女がするはずのない笑みであった点だけは、変わらなかった。


    そしてここには用がないとばかりに。扉を開き、滴る愛液やおしっこに構わず大股で部屋を出て行った……







    『叢雲』が意識を取り戻したのはそのしばらく後のことである。
    気がついたら、自室で何故か全裸でポーズをとりながら大鏡を前に満足そうに微笑んでいた。
    備え付けのベッドには私服がずらりと並べてあり、おそらく一度着たような雰囲気を感じ取れる。
    何よりの違和感は、股間の湿り気。
    まるで『オナニーをしていた後』かのようだ。

    (何?一体どういうこと!?私は、さっき執務室で、何か変なスライムに襲われて…)

    「お、ようやく起きたか…」

    (口が勝手に!?)

    鏡の前の叢雲がニヤリと微笑む。
    この時を待っていたかのような雰囲気でもあった。

    「いやぁ、もう少し色気のある下着かと思っていたがどれもこれも白ばかり…大きいのは口だけのお子様だったようだな」

    フン、と鼻を鳴らす姿はいつもの彼女の通りなのだが、そのいつも通りさ、『違和感の無さ』に『叢雲』は恐怖を覚える。
    だがそれよりも『叢雲』は臆することなく謎の相手に突っかかった。

    (失礼な事言わないで!と言うかこれどういう事よ!アンタ何者!)

    「そうだな、結論から言わせてもらうとお前の身体は今俺が使わせてもらっている。」

    (は…?ありえないわよそんなの!)

    「さっきのスライムだよ、俺は」

    (なっ…)

    ――驚愕、そのようなことはあり得ない、まさか、悪い夢でも見ているのか。

    「ちなみにわざわざ意識して声を出そうとしなくても大丈夫だぞ。お前の思考もすべて手に取るように分かるからなぁ?恐怖してるだろ?」

    (い、意味が分からないわ!)

    「ま、すぐに分かるようになるさ…さて、質問に答えてやる。俺はお前さんたちを率いる司令官ではない。その男は既に消してやったさ」

    彼女は謡うように嗤う。
    楽しそうに、心底楽しそうに嗤う。

    (!?)

    「俺はこんな体でな、普通の人間に憑りつくのも負担が大きすぎる。かといって乗り換えるのもリスクが高い。バレたら研究所送りだろうしな。」

    そう言いながら彼女の耳からスライムの蝕指が出てくる。
    彼女はそれを愛おしそうに撫でた。

    (ひっ…!?)

    「だから、お前たちだ…通常の人間よりも頑丈で、外界から遮断されている、しかも美人ぞろいと来た…。ここまでの好物件、そうそうないんじゃないかね?あぁ、本当に美しい…」

    うっとりとした表情で鏡に映った自身の分身を舌で舐め回す。
    『叢雲』はその姿に更なる恐怖を覚えた。

    (私たちをアンタのために苗床にしようって訳…?)

    「増えることは出来そうにないが、間借りついでに美味しい思いをさせてくれってだけさ。」

    嗤いながら自身の腹を撫でる。
    それに呼応するように中のスライムがぐるぐると蠢いた。
    通常生きていれば味わいようもない感覚に恐慌状態に陥りそうになりながら、それでも尚叢雲は反撃を試みる。

    (フン、提督用の教育も受けていないアンタが仕事出来ると思って?すぐに大本営に嗅ぎ付かれるわ!)

    「残念ながら、俺は乗っ取ったやつの知識や記憶を奪う事が出来てな?」

    (なっ…!?まさか、彼を…?)

    「男に憑りつく興味はないねぇ。あの大淀?とか言ったか…アレの知識を奪ってやったよ。まだ艦娘ではないから憑りつくことは出来なかったがね。」

    既に彼女はこの男の手のうちに堕ちていたというのか。
    つまり、その他の人達も恐らくそうであろうと推測出来た。

    (そして最初に来た私を乗っ取ったと…反吐が出るわ!)

    吐き捨てるように告げると、『叢雲』は何とか身体の主導権を取り返そうともがく。
    だが身体はビクともしない。

    「安心しろ、お前もすぐに喜んで協力するようになる。」

    挑発するように彼女は告げる。
    それに対し『叢雲』は更に力を強めた。

    (ッッ!誰がッ!…ひぅっ!)

    「どうだ?『いつもお前がしているように触られる感覚』は?」

    普段の自分がするはずもない笑み、粘着質な、あのスライムにお似合いの笑み。
    勝ち誇ったようなそれに、『叢雲』は激昂した。

    (アンタ…どこ触って!)

    「そりゃあクリトリスに決まってるだろ。毎日触ってるもんなぁ。見かけによらずぷっくり肥大化してるじゃないか。」

    だが気持ちとは裏腹に身体は正直である。
    自らの全てを本当に知られているからこそ得られる快楽、そして絶望感。

    (やめっ…!)

    「んっ…いつもこうやって、少し強めにキュッとつまむのが好きなんだよな。ツンケンしてる癖にМなんだよなぁ?」

    いつものように、自分を慰めるときに使う手管を使われる。
    普段ならそれでも自らを奮い立たせることが出来たのであろうが、あまりに非日常的な状態に、『叢雲』はついに白旗をあげた。

    (ぐすっ…やめなさいっ!私の記憶を覗くな!)

    「…そんなに嫌か?」

    泣きだした『叢雲』に心底満足したような、外道のような笑み。
    最早できることは否定することだけであった。

    (嫌に決まっているでしょう!誰が人の身体を、記憶を!)

    「乗っ取られた感覚、気持ちよくなかったか?他のやつにも味わせてみたいと思わないか?」

    更に問う、一体なぜこのような問いをするのか『叢雲』が理解する冷静さは最早なかった。
    感情のままに否定を続ける。

    (あんなの、二度とごめんだわ!思うはずがない!)

    「嘘だね、受け入れたら楽になるんだぞ?」

    (嘘なわけがない!死んでもごめんよ!)

    ――拒否。
    その思考を感じた瞬間、「彼女」は目を閉じ、更に問いを続けた。

    「思考の奥の奥まで、嫌いで仕方がないわけだ。」

    (死んじゃえ…死ね!)

    ――拒絶。
    コミュニケーションにおいて最極端に位置する感情。
    それを引き出した彼女は、満足そうに、心底満足そうに、終わりを告げた。

    「じゃ、反転しようか。」

    (えっ…?)


    ぐるん、と言う音が聞こえた気がした。


    (~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!)

    彼への嫌悪感、拒否、拒絶。
    その全てが反転していく。
    彼の意思が、理屈ではなく、それがすべて正しいと心の底から思える。
    気持ちいい、尽くすのが気持ちいい。
    彼に使われるのが気持ちいい。





    「…どうだ?協力する気になっただろう?」

    彼は、『叢雲』の主として問うた。
    その返事は言わなくても分かっているのであるが、だがそれでも言わせた。

    「えぇ…私は、駆逐艦叢雲の全ては、貴方のモノよ。嘘みたい、あんなに嫌ってたはずなのに…」

    『叢雲』は口を開き、そして愛おしそうに目を細め、自らの腹を撫でた。
    自らの主が身体の中にいる、それだけで絶頂してしまうほどの幸福感であった。

    「では早速、明日から作戦を開始するとしよう。」

    「えぇ♪でも今日はたっぷり私の身体を使い潰してちょうだい♪」


    叢雲の頭の上の艤装のライトが、青からピンクへと変わっていた。




    翌日、次の艦娘…犠牲者が着任してきた。
    書面上は既に確認してある。
    『叢雲』は、彼女を主のモノとすると考えるだけで股を濡らし待っていた。





    「駆逐艦、白雪です。あれ?叢雲ちゃん、司令官は?」
    「いらっしゃい、白雪。すぐに会えるわよ…すぐに、ね?」

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