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    スライム艦と朝潮

    「演習の申し込み、ねぇ。」


    どこか同じような光景。

    叢雲はぴらっと紙をめくると興味なさそうに机に放り投げる。

    ついにここまで来てしまったか。

    あまり支配下の人間以外をここに呼びたく無いものだが。

    はてさてどうしたものか。


    (毎度毎度ご苦労なことね、自業自得よ。)


    中に居る『叢雲本人』が語り掛ける。


    「そういうなら止めてくれよ。お前たちも解体処分どころか実験体送りだぞ?」


    (それでも、私は貴方がしたいようにするのが一番の幸せだもの。)


    「あー…うん、なんかすまん。」


    結構な外道に堕ちたつもりだったのだがこうも好かれるとむず痒いものがある。

    そうなるように調整したはずなのにな。


    「夫婦漫才も慣れて来たとはいえ、妬けるものがありますね。」


    声をかけるのは浜風。

    あれから専属の秘書艦補佐として主にいろいろと役に立ってもらっている。


    「そういえば提督、私n『じりりりりん。じりりりりりん。』」


    突然浜風がピクっと痙攣したかと思うと、視線をまっすぐに向け黒電話の鳴き真似をし始めた。

    立ち上がって鼻を押すと、鳴き真似をやめて言葉を発し始める。


    「『こちら工廠の明石です。まもなく新しい艦娘が着任する見込みなのですが、すぐそちらへ向かわせてもいいでしょうか?』」


    「あぁ、構わん。こっちで処置しておくよ。」


    「『了解ですーピッ!つーっ、つーっ』っと、着信でしたか。」


    外から見ればコントでもやっているのではないかというこの光景。

    これもまた、浜風の役割の一つなのだ。

    前に彼女をスーパーコンピューターにした時にもうちょっと別の使い方もないだろうかと思案した結果なのだが。

    人間の器官はコンピューターの入出力に使われる器機に置き換えることが出来ると考えたのだ。

    という事で、耳をマイクに、口をスピーカーに置き換え浜風を内線電話にしてみた。

    意外と使い心地がよく、あの真面目な浜風がいきなり他の娘の口調になったりするのは中々の背徳感である。

    他にも、性欲を持て余した艦娘がセックスしているところを受信させ、感覚も共有させることで完全に再現して実況させたりとか色々やらせてみている。

    まぁこの話は取り敢えずおいておこう。


    「して浜風、何かいい案があると言ったが?」


    問いかけると彼女はニヤリと嗤った。


    「成る程、やってみろ。失敗すればその時はその時だ。」



    「叢雲秘書艦、お呼びでしょうか。」


    執務室に現れたのは、中学校に入ったばかりのような小柄な少女。

    ブラウスにサスペンダーでスカートを吊っており、どこか私立学校の制服を思わせる姿。

    黒髪ロングで、真面目そうな外見をしている。

    彼女は駆逐艦朝潮。

    この鎮守府に最近着任した、新任の艦娘だ。



    「駆逐艦朝潮、貴官には特別改装を受けてもらうわ。」


    叢雲改二が告げる。

    彼女は初期艦で提督の信認が厚く、総秘書官として仕事をこなしていた。


    「はっ、司令官のためなら私はどんな任務でもこなします!」


    生真面目で実直。

    優等生を絵に描いたような性格の彼女は上からの命令には絶対に従うのだ。

    きっとその身体も汚れなき白なのであろう。


    「そう言ってくれると思ったわ。」


    ニヤァと嗤う叢雲。

    一体何の笑みなのだろうか。彼女は少したじろぐが、取り敢えず話を聞かなくては。


    「それで、一体どういう改装なのでしょうか。着任したばかりの私が改になるには練度がまだ足りないかと思われますが…」


    問いに答えたのは、もう一人の秘書艦である浜風だった。

    彼女もまた、提督の信認が厚く秘書艦補佐として、艦隊業務にあたっているらしい。


    「いえ、ちょっとスライム製造機になっていただきたいだけでして。」


    「は…?」


    浜風がいきなりとんでもない発言をする。

    仮に冗談だとしても全く笑えないだろう。

    朝潮はポカンとするしかなく、叢雲と同じ笑みを浮かべる浜風から逃れることが出来なかった。

    ぱさっ、ぱさっと浜風は慣れた手つきで自分の服を脱ぎ、全裸姿になる。

    駆逐艦とは思えない豊満な胸が朝潮の嫉妬心をくすぐった。

    うっとりとした表情で彼女に歩み寄ると、浜風は朝潮を後ろから抱きしめた。


    ぎゅっ


    じゅぷっ!


    「は・・・?」


    予想とは全く違う、粘着質な感覚。

    後ろを振り向けないので、回された腕を見ると浜風の腕は何と半透明の青色に変化していた。

    これはどういうことなのか。

    本当に後ろにいるのは浜風なのか!?

    「ひっ!」


    じわじわと服が濡れていく感覚がする。

    きっと後ろの浜風もスライムとなっているのだろう。

    彼女は何とか抵抗しようとするが、身体が動かない。

    艦娘とはいえ、着任したての練度1。

    恐怖に打ち勝つ事など無理な話であった。


    「怖くないですよ。」


    浜風は彼女の耳元で囁く。

    じゅるり、じゅるりと溶けながら朝潮の身体を覆い始めた。

    密着している背中から、粘着質の液体がどんどん進む。


    「やぁ…」


    彼女らしからぬ艶めかしい声。

    ショーツを浸食し、股間部を覆ったのだ。

    更に、腋、お腹、お臍の襞も念入りにスライムが覆っていく。

    朝潮にできるのは目を閉じてこの苦痛が過ぎ去るのを耐えることのみ。

    だが、人間の感覚の七割を占める視覚を閉じたという事は。

    相対的に肌の感覚が過敏になるという事である。

    自分を守るための行動のはずなのに、自分をさらに追い詰めていく。

    そのことに彼女は全く気付かない。

    目尻に涙を貯め、口をきゅっと結びながらも鼻息はとても荒い。


    「~♪」


    顔も少し溶けている浜風はその朝潮の反応が楽しいらしく、とても上機嫌そうに浸食を続ける。

    そうこうしているうちに、彼女の胸へとスライムが到達した。


    「ひぅっ!」


    小ぶりな胸をじわじわと覆われていく感覚に、彼女はピクっと痙攣を起こした。

    きっとまだ誰にも触らせたことのないであろう乳首も覆われる。

    ふるふると朝潮は耐え、顔を赤く染めた。

    更に、子供っぽい丸みを帯びた手から、小さな足の先まで全てがスライムに覆われる。

    靴の中は雨の日に歩いたかのようにグジュグジュになってしまっていた。

    彼女は首から下以外全てスライムに覆われ、差し込む光で服や素肌の表面がテカテカと光っている。

    背後に居る浜風は覆うために体積を使ったためか少し小さくなっていた。

    すると、スライムがじんわりと暖かくなってきた。


    「はぁ…」


    まるで、暖かいお風呂に入ったかのような感覚。

    思わずため息が漏れる。

    じわり、じわりと熱が自分の体の中に染み込む。

    こんな環境なのに、朝潮は気持ちがいいと思ってしまっていた。

    身体が溶けてしまいそう。


    ビチャチャチャチャ


    力が抜けてしまったのか、彼女はおしっこを漏らしてしまった。

    足を覆うスライムを伝って床へと流れる。

    彼女の顔は羞恥心ではなく、恍惚とした表情を見せていた。

    だからだろうか、彼女は気づかなかったのだ。

    指先や足先が少しずつ、ピクピクと動いていることに。

    そう、スライムと化した浜風は、朝潮の身体を全身の皮膚から浸食していたのだ。

    スライムは更に染み込み、吐く息はサウナに入った後のように熱を帯びていく。

    はぁー、はぁーと湯気が出そうな程。

    浜風はさらに体積を減らし、首から上が朝潮の肩の上に乗っているほどに小さくなっていた。

    首から下はほぼ完全に、朝潮と同化している。

    先ほどまで覆っていたスライムもどんどん染み込んでいき、服や肌のぬめりもきれいさっぱり無くなってしまった。

    しばらく朝潮はぼんやりしていたが、熱が引いてくるとハッと意識を取り戻した。


    「あー…えぇ?」


    だが、身体が動かない。

    朝潮の表情が驚愕に変わる。

    首から下が一切動かないのだ。

    呼吸は自動的に行われているようだが。

    自分の意思でうごかすことが出来ない。


    「これは、どういう、こと、ですか?」


    つまり、呼吸の長さが調節できないので上手く喋れないのだ。

    何とか呼吸に合わせて喉を震わせることで意思疎通を図ろうとする。

    だが叢雲はニヤニヤするだけで何も答えない。


    「こたえt…くだっ……さい!」

    「あらあら、随分と答え辛そうですね?」


    浜風はニヤニヤしながら彼女の身体で、やれやれといったポーズをとる。

    そう、朝潮の身体を今は浜風が動かしているのだ。

    彼女が上手く喋れないのは、浜風が呼吸を調節しているからだった。

    今度は息を止めてしまい、朝潮が一切喋れなくする。

    苦しそうに口でやめて欲しいと懇願するが、浜風は一切聞く耳を持たない。

    だが死んでしまっては困るため、仕方なしに彼女に呼吸をする権限を与えることにした。

    その方がきっと、楽しいだろうから。

    朝潮と同じく真面目だったはずの彼女の面影など、どこにもない。


    「ぜぇー、ぜぇー。」


    肩で息をする朝潮。

    頭がぼんやりするのか、何も言葉は発さない。

    いや、発せば発するだけ相手を悦ばせるだけだと悟っていたのだ。


    「ふーん、ならこうしちゃいましょう。」


    浜風はニヤッと嗤うと、自らの耳からスライムの蝕指を伸ばし、朝潮の耳の中に突っ込んだ。


    「ひぎっ!」


    彼女はビクッと痙攣すると、猛烈な不快感に襲われる。

    頭の中をゆっくりかき回されているような、酔いとはまた違う、何か。

    ふんふんと頷きながら、浜風は次にすることを思いついた。


    「ほら、朝潮さん。しっかりみててください。」


    浜風がそう告げると、突然彼女の胸が膨らんだ。

    パァン!と言う音と共に、ブラウスの第二~五ボタンが弾け飛ぶ。

    恐らく浜風よりも一回り大きいほどの乳房。

    着用していたハーフトップは肉圧を押さえることが出来ず、ずるっとめくれ上がっている。

    乳輪もまた、乳房と合わせて巨大に変化していた。


    「ひっ…やっ…やぁああああああああ!?」


    朝潮は絶叫する。

    いきなり自分の身体が無茶苦茶に変化したのだ、無理もない。

    だが肩にかかる重さ、外気に晒される素肌は本物で。

    否応なしに現実を突きつける。

    いやいやと涙目になりながら首をふる朝潮に対し、浜風は首をかしげていた。


    「あれぇ。朝潮さん胸が小さいのを気にしていると、貴女の記憶にあるのですが…」


    浜風はしばらく前に人工スーパーコンピューターにされてから、他人の脳内を検索することに特化していたのだ。

    しかも独自の進化を遂げ、その力は主であるスライムを超えるまでに至っていた。

    故に朝潮の記憶を完全に把握し、それにあったように改造したのだが。

    その辺りはきっと主の趣向に寄せられているからであろう。


    「このままだと少しバランスが悪いですものね、ちゃんと調整してあげますから安心してください。」


    見当違いな方向に納得する浜風。

    朝潮はもうやめてと言わんばかりに首を振っている。

    声を出せるはずなのに出すことすらできなくなっているようだ。

    ぐぐぐっと朝潮の身長が伸び始める。

    頭一つ分くらいであろうか?
    浜風よりも少し高いほどにまで大きくなった。

    腕も足も伸び、太く短かった指も、大人の細長い指へと変化する。

    それに呼応してヒップや太ももも、大きくむっちりとなっていく。

    身長が上がったことにより、サスペンダーに吊られたスカートはその役割を放棄し、飾り気のない純白の綿パンが丸見えになる。

    更に、お尻がどんどん膨らんでいくことでサイズが合わなくなり、肉が大きくはみ出て食いこんでしまっていた。

    足も大きくなり、靴下もぱっつんぱっつんになっていた。


    「ひぐっ…うぅ…もうやだ…」


    朝潮はついに泣きだしてしまった。

    自分の身体が好き放題使われているのに耐えられなくなったのであろう。

    浜風はその心の動きを、思考をよくわかっていた。

    だからもっと煽りたいと思った。


    「ほら、これでしょ?」


    叢雲は分かっているわよ、と言わんばかりに姿鏡を用意し、後ろに一人がけのソファーを置いた。

    浜風は目配せしてニヤッとすると、朝潮の服を乱雑に脱いでいく。

    あんまり気にしていても脱げなくなってしまうからだ。

    ショーツを脱ぐときにズチュっという音がして銀色の糸を引いた。

    浜風はそれのクロッチ部分を朝潮の顔に押し付ける。


    「むー!むー!!」


    抵抗する彼女の顔で濡れたショーツを拭き終わると、ポイッと捨てた。

    朝潮の顔は自分の愛液でテラテラになっている。

    浜風はソファーに腰をかけ、股を大きく開き片足をソファーの上に置く。

    見せつけるかの如く、鏡の前にすべてを表した。

    最早重巡でも納得するほどの豊満さなのに、首の上にはちょこんと幼い少女の顔が乗っている。

    そのアンバランスさが扇情的ですらあった。

    つるつるの秘部から、さらに愛液が漏れだす。

    手始めに、浜風は豊満な自身の胸を両手で揉みしだき始めた。

    まるで童貞の男のように荒々しく。


    「はぅっ!」


    だが、浜風と融合した朝潮の身体は、激しい快感を脳に伝える。

    更に人差し指と中指で乳首を刺激する。

    ピンク色の綺麗なそれは、どんどん固く勃起していく。

    コリコリと弄れば、勝手に彼女の身体は仰け反りながら痙攣した。


    「ふっ…うぅ…」


    先ほどと同じように朝潮は歯を食いしばりながら耐える。

    横目に見る浜風はニヤニヤしながら、乳首を弄り続けた。

    例え食いしばろうが、耐えようが脳を繋げている彼女には筒抜けなのである。

    朝潮は、快感をしっかり味わっているのだと。

    徐々に、徐々に彼女を快楽へと落としていく。

    この身体の素晴らしさを味あわせていくのだ。

    朝潮の口に無理やり指を突っ込んで唾液を絡ませては乳首に塗りたくる。

    痙攣はさらに激しくなり、声も抑えることが難しくなってきているようだった。

    たっぷり10分は弄ったであろう頃。

    最早彼女の顔は快楽でとろけ、口から涎が垂れており、目はうつろ。

    思考は靄がかかっており、殆ど何も考えられていない様子だった。

    浜風は、仕上げにと左手で胸を揉みながら右手の三本の指を秘所に突っ込んだ。

    洪水となってソファーに水たまりを作っているそこは、軽々と彼女の指を咥えこむ。


    「「はああああん!」」


    この快楽には朝潮だけでなく、浜風も雌の鳴き声を押さえきれなかった。

    グチュ!グチュ!と指をほじくる。

    腹で上を刺激したり、出し入れしたり、子宮の入り口をなぞったり叩いたり。

    その全てが極上の快楽を提供してくれる。

    浜風も、朝潮も舌を突きだしながら激しく痙攣していた。


    「むぐっ!」


    突然朝潮は口を塞がれる。

    ちょっと置いてきぼりになっていた叢雲だ。

    舌を朝潮の口内にいれ、情熱的なディープキスを行う。

    もはやそれが止めだったのかもしれない。


    (気持ちいい…!)


    朝潮の心が、快楽に屈したのだ。


    「あはっ…!」


    それを感じた浜風は、最後に自分の頭を朝潮の頭に沈める。


    「んぐっ!」


    叢雲のキスを押しのけるほどの強い息。

    顎がガクガクと痙攣し、白目を剥く。

    浜風は完璧にスライムになっており、繋がっている耳や口、鼻、目から顔の中へと侵入していった。

    ついに最終段階に入ったのだと叢雲は察し空いている右胸を揉みしだきながら彼女の様子を観察する。

    この段階でも彼女は自らの身体を操り、秘所や胸をいじくりまわして快楽を得続けているようだった。

    すると、胸を揉んでいた左手が顔に移動して、お面のズレを合わせるかの如く顎をクイクイしはじめる。

    仰け反りながら白目が剥いているのに身体が動いている姿は不気味だが、支配しているという感覚に叢雲は震えた。

    二人の目が合う。

    ニチャア、と笑う朝潮、それは自分たちが良くしていた顔と直感的に分かった。

    左腕で抱き寄せられると、先ほどのお返しとばかりに情熱的なキスをする。

    叢雲は右耳にスライムが入ってくるのを感じた。

    浜風が乗っ取った朝潮の感覚と、感情が自分に流れ込んでくる。

    真っ白な布地に、墨汁をぶちまけていくようなそんなイメージが手にとるように分かる。

    彼女もまた、どす黒い絵の具を朝潮という布に染み込ませていった。

    好きなもの、嫌いなもの、価値観、その全てを。

    私たちと同じに…


    「ッッ――!!」


    隅まで染み渡ったことがわかった瞬間、二人は絶頂に震えた。





    少し身体を落ち着かせた後、浜風は一旦スライム状になり、本来の自分の姿に戻った。

    一つだけ違うのは、大きく膨らんだお腹。


    「やっぱり大きいわね。」


    叢雲がそう言いながら浜風のお腹を撫でる。

    そう、朝潮を中に入れているのだ。

    生まれ変わった彼女を、自らの手で産み落とすのである。


    「きっとかわいらしい娘になりますよ」


    浜風は笑顔でそう言った。

    そして、ソファーへМ字開脚で座った後、力み始める。


    「ふーっ、ふーっ!」


    むちっ…むちっ…

    と言う音と共に、浜風の膣が大きく大きく開いていく。

    スライムとなった彼女だからこそ、通常の人間なら破裂するほどの大きさの穴を作りだせていた。

    骨盤が外れたかのように股関節が開き、先ほどまで頭の上にあった黒髪が排出されてくる。

    羊水兼潤滑油代わりのスライムを浴びながら、叢雲は出てくる朝潮を抱きとめた。

    彼女もまた半透明のスライム状で、骨がふにゃふにゃとしている。

    パチッと目を覚ますと、出てきた穴を徐々に塞いでいる浜風に飛びついた。


    「お母さん!」


    と。

    元気な様子に、叢雲はクスッとほほ笑み、浜風は胸に彼女を抱きとめ、よしよしと撫でる。

    その姿は大型犬がじゃれついているようにも見えた。


    「どう?朝潮。生まれ変わった気持ちは。」


    叢雲は彼女に問いかけた。

    それに対し、朝潮はとてもいい笑顔で。


    「えぇ、この身体の素晴らしさがよーくわかりましたよ…ひひっ」


    真面目な優等生の朝潮から想像も出来ないほどの邪悪な笑み。

    見た目の子供らしさが更に違和感を駆り立てる。

    あぁ、何と愛おしいことか。


    「なら良かったわ。」


    優しげな笑顔で頭を撫でる叢雲は何というか初孫が出来たおばあちゃんみたいな雰囲気である。

    そのような事を言えば殺される気しかしないが。


    「朝潮、流石にお母さんは二人っきりの時だけにしなさい。」


    「はーい。」


    浜風はと言うと真面目な根は残っているが、何だかんだ彼女も母っぽくなったのだろうか。

    朝潮は彼女の手を握ってとても楽しそうにしている。

    自分でやらせた事だが、何とも感慨深いものがある。


    「さて、朝潮。貴女の力をみせてあげて?」


    手を握った朝潮に語り掛けた。

    すると、朝潮もプルンとスライム状になったかと思うとぐーんと体積を大きくし、浜風とそっくりの姿になる。


    「ほう…これはどちらがどちらか見分けがつかんな。」


    彼女が手に入れたのは変身能力。

    曰く、複雑でないなら触れたものは大体変身することが出来るとか。

    勿論体積の限度はあるようだが。

    これを使えば演習相手を上手く手玉にとることが出来るな。


    「ふふっ…ふふふ…」


    笑いが止まらない。

    こうもトントン拍子に進むとは。

    浜風も、朝潮も下卑た笑みを浮かべる。

    スライム提督は着実に海軍を浸食しつつあった…

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